背中の筋膜と腓骨腔のトポグラフィー

生体では、外後頭隆起、第2および第7頸椎の棘突起、すべての胸椎および腰椎、そして中部仙骨稜が明瞭に触知できます。頸椎および腰椎の前弯、胸椎および仙骨の後弯が認められます。肋骨、肩甲骨棘、肩甲骨内側縁、および下角は脊柱の側方に触知できます。脊柱を伸展させる筋は正中線の側方に認められます。これらの筋は容易に触知できます。

背中の皮膚は厚く、結合組織束によって浅筋膜と癒合しています。皮膚には多くの皮脂腺と汗腺があります。特に女性では皮下組織が発達しており、肋間血管の後枝、神経、頸部と肩甲骨の横行動脈の枝などが通っています。

僧帽筋と広背筋を覆う浅筋膜は弱く露出しています。腰部では、浅筋膜の下に腰殿筋脂肪塊があり、広背筋の下縁を覆っています。

胸腰筋膜（fascia thoracolumbalis）はよく発達しており、背部の深層筋を覆っています。この筋膜は腰部に最もよく見られ、2枚の板に明確に分かれています。胸腰筋膜の浅板は、腰椎の棘突起、棘上靭帯、正中仙骨稜、腸骨稜外縁、および上後腸骨棘に付着しています。外側では、浅板はこの筋膜の深板と癒合し、脊柱を伸展させる筋のための骨筋膜床を形成します。広背筋の腱起始部（腱膜）は、浅板と強固に癒合しています。

この筋膜の深板は、内側では腰椎の横突起と横間靭帯に付着し、下側では腸骨稜、上側では第12肋骨の下縁に付着しています。深板の肥厚した上縁は、第1腰椎の横突起と第12肋骨の間に張られており、腰肋靭帯と呼ばれます。腰部では、深板は脊柱起立筋と腰方形筋を隔てています。

胸部では、腰仙筋膜の浅板が胸椎の棘突起に付着しており、外側では肋骨角に付着しています。首の後部（項部）では、筋肉の間に項部筋膜（fascia michae）があり、そのシートが後頭筋を互いに分離しています。

肩甲骨を部分的に覆う僧帽筋と広背筋の前には、これらの筋肉を頭頸部の板状筋、肩甲挙筋、菱形筋、鋸筋から分離する緩い組織があります。

後頭領域の奥には後頭三角があり、頭の大きな後直筋と斜筋によって区切られています。この後頭三角の底部、筋膜と細胞組織の下には環椎後弓があります。環椎後弓と後頭骨の間には、緻密な後環椎後頭膜があります。