セレウス菌-食中毒の原因菌

セレウス菌は食中毒の病因において重要な役割を果たします。セレウス菌はグラム陽性菌で、莢膜を持たず、大きさは1.0～1.2×3～5μmです。運動性（周毛性）または非運動性があります。細胞は鎖状に配列する傾向があり、その安定性がコロニーの形状を主に決定しますが、コロニーの形状は菌株によって大きく異なります。セレウス菌は楕円形の胞子を形成し、胞子は中央に位置しますが、細胞を膨張させることはありません。ブドウ糖寒天培地で培養された細菌は、増殖初期には液滴状の脂質封入体（ポリ-b-ヒドロキシ酪酸）を含み、しばしば顆粒状に崩壊します。

B. cereusは化学有機栄養菌であり、好気性菌または通性嫌気性菌であり、嫌気性寒天培地中で生育することができます。DNA中のG+C含有量は32～37モル%です。

通常、カタラーゼ陽性です。硝酸塩を亜硝酸塩に還元し、グルコース、麦芽糖、そして多くの場合スクロースを発酵させてガスを出さずに酸のみを生成します。マンニトールは発酵せず、アセトイン（Voges-Proskauer試験陽性）およびレシチナーゼを生成します。クエン酸培地および0.001%リゾチーム存在下で生育します。生育の最適温度は35～45℃で、生育可能な温度範囲は10～45℃です。溶血素、外毒素、細菌細胞を溶解する酵素、タンパク質分解酵素、ホスホリパーゼCを合成・分泌します。一部の菌株はデンプンと鉄を含む培地で赤色色素を形成し、一部の菌株は様々な培地で黄緑色の蛍光色素を形成します。菌株によって生育に必要なアミノ酸は異なります。濃厚な培地上では、細胞が鎖状に配列する安定性に応じて、様々な外観のコロニーを形成します。場合によっては、縁が波打っており突起のない、鈍いまたはすりガラスのようなコロニーが形成されることもあります。また、寒天培地の表面に広く広がる根のような突起を持つコロニーを形成することもあります。突起はランダムに絡み合ったように見える場合もあれば、時計回りまたは反時計回りに様々な方向に曲がっている場合もあります。

ポリミキシン添加卵黄塩寒天培地上で、B. cereus は虹色の光環（レシチナーゼ陽性）に囲まれたギザギザの縁を持つワックス状のコロニーを形成します。生息環境：土壌、水、植物基質。

B. cereus は、その特性が B. thuringietisis と非常に類似していますが、細胞内に毒性のタンパク質結晶が存在しない点で異なります。

O抗原に基づいて、B. Cereus B. thuringietisis群には13の血清型が同定されています。これらはH抗原にも違いがあります。

一部のB. cereus株はヒトおよび動物に対して病原性を示します。特に、B. cereusが食中毒感染症の病因としての役割は確立されています。B. cereusの病原性は、2種類の外毒素を合成・分泌する能力に関連しています。そのうちの1つは3つのタンパク質成分から構成され、下痢誘発性・致死性を有し、血管透過性を高めます（下痢誘発性致死毒素）。もう1つの毒素であるセレオリジンは、細胞溶解性・致死性作用を有し、血管透過性を阻害します。

B. cereusの病原性変異株が食品に侵入すると、食品内で増殖し、外毒素を生成します。B. cereusが分泌するタンパク質分解酵素などの作用により、様々な毒性物質（プタミン）が食品に蓄積します。これらが相まって食中毒を引き起こします。感染は、B. cereusに汚染された植物性食品や牛乳（40～55%）、動物性食品（25%）などの食品を摂取した場合に最も多く発生します。

このような食中毒の細菌学的診断では、食品中のB. cereusの量的含有量（1gあたり10～10個以上の細胞）、糞便や洗浄水からの大量の分離、集団中毒の場合の数人からの同時分離などに注意する必要があります。診断の血清学的確認は、血清中のB. cereusに対する抗体の検出とその力価の上昇によって行われます。

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