コレステロール低下薬がC型肝炎を予防する

C型肝炎ウイルスはコレステロール受容体を介して細胞内に侵入しますが、コレステロール代謝調整剤として長年使用されてきた薬エゼチミブは、この受容体の働きを抑制するのに適していることが判明しました。

コレステロールがC型肝炎ウイルスの細胞侵入を何らかの形で助けていることは、科学者の間で長年知られていました。しかし、この助けがどのように現れるのかは謎のままでした。そして今、イリノイ大学シカゴ校（米国）の研究者グループは、ウイルスが細胞に侵入する「門」を特定したと報告しました。この門はコレステロール受容体NPC1L1であることが判明しました。この受容体は細胞内のコレステロールバランスを維持するのに役立ち、同時に致死的なウイルスの侵入経路も開いてしまうことが判明しました。

NPC1L1は多くの動物種の消化管組織に存在しますが、肝臓に存在しているのはヒトとチンパンジーのみで、チンパンジーはC型肝炎に感染する唯一の動物です。研究者らは、この受容体を阻害することでウイルス感染を予防できることを示しました。この結果は細胞培養実験と動物モデルの両方で確認されました。しかし、研究者らはチンパンジーではなく、ヒト肝臓片を移植したマウスを用いていました。肝炎ウイルスはマウス体内でヒト肝臓に影響を与えましたが、NPC1L1受容体阻害剤を投与されたマウスでは影響を与えませんでした。

さらに、コレステロール値を下げるために用いられるよく知られた薬、エゼチミブがC型肝炎にも効果があることが判明しました。その作用は、NPC1L1の働きを阻害することに基づいています。この受容体自体はコレステロール代謝との関連でよく研究されており、肝炎との関連はこれまで誰も考えていなかったのです。既存の抗ウイルス薬とは異なり、エゼチミブはC型肝炎ウイルスの6つの亜種すべてによる細胞への感染を効果的に阻止しました。

科学者たちはその結果をネイチャー・メディシン誌に発表した。

この薬は、肝移植しか選択肢がない病気の後期には効果がありません。しかし、移植後、ウイルスが健康な肝臓に侵入するケースは少なくありません。エゼチミブは、特に移植後に免疫抑制剤を服用し、その結果、体が著しく弱体化していることを考慮すると、既存の薬よりも移植肝臓を保護する上ではるかに効果的な手段となる可能性があります。

慢性肝炎に関しては、科学者たちは、現在エイズの治療に使用されているものと同様の薬剤カクテルを開発する必要があると考えています。そのような混合物では、エゼチミブは他の抗ウイルス薬の有効性を大幅に高める可能性があります。

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