薬局で売られているビタミンEは癌を予防しない

ビタミン剤の広告には、特定のビタミンの薬効がすべて詳細に記載されています。しかし、これらの物質が自然界で様々な形で存在し、その性質が全く同一ではないという事実については、広告では何も触れられていません。

最近、ビタミンEの特性と、この物質の摂取が悪性腫瘍の成長に及ぼす影響について研究した科学論文が数多く発表されています。おそらく、ビタミンEとDを除けば、これほど矛盾したデータを示したビタミンは他にないでしょう。ビタミンE（トコフェロール）は癌の発生を予防し、既存の腫瘍の増殖を遅らせると主張する科学者がいる一方で、このビタミンは潜在的に作用し、継続的に摂取すると癌性腫瘍の成長を促進すると主張する科学者もいます。

ニュージャージー癌研究所のアメリカ人科学者たちは、この紛らわしい状況を大きく解明しました。彼らは、3種類のビタミンE（α-、γ-、δ-トコフェロール）のうち、最後の2種類だけが、腸の悪性腫瘍、肺がん、乳がん、前立腺がんといった悪性腫瘍の発生を予防する能力を持っていることを発見したのです。しかし、α-トコフェロールにはそのような性質がありません。

ここで興味深い事実は、ガンマトコフェロールとデルタトコフェロールは主に大豆製品、コーン油、あらゆる種類のナッツなどの天然食品に含まれており、アルファトコフェロールは薬局で販売されている合成ビタミン薬の一部であるということです。

実験動物を用いた実験では、動物は様々な発がん物質に曝露されました。研究者らの報告によると、ガンマ-トコフェロールとデルタ-トコフェロールを餌と一緒に摂取した実験群では、これらのトコフェロールを多く含む製品を摂取しなかった対照群と比較して、がんを発症した動物の数が少なく、腫瘍のサイズも小さかったとのことです。

動物に癌細胞を接種したところ、ガンマトコフェロールとデルタトコフェロールを定期的に与えられたラットでは、腫瘍の成長がはるかに遅くなりました。

デルタトコフェロールは大腸がんに対して特に効果的でした。

「ビタミンを摂取している人、あるいは健康増進のためにビタミンの使用を検討している人にとっては、その結果を知り、トコフェロールの形態間の違いを理解することは有益だろう」と、研究共著者のチョン・ヤン博士は述べている。