皮膚バリア特性の特殊性

外部要因の影響から身体を保護する皮膚のバリア特性は、角質層、角質層の高度に特殊化した脂質、および水脂質マントルの複雑な相互作用によって提供されます。

角質層は、皮膚を外部からのダメージから機械的に保護する役割を果たします。角質層は絶えず剥離することで、皮膚表面を清潔に保ちます。角質層の厚さは、解剖学的部位によって異なり、9µm（まぶたの皮膚）から0.5cm（手のひらと足の裏の皮膚）まで様々です。

皮膚表面では、角質層自体の水分量と周囲の水分量との間で繊細なバランスが保たれています。角質層の正常な水分保持のために、多くの研究者がレンガの壁に例える独特の構造が存在します。この「レンガ」の役割を担うのは角質細胞（角質層の細胞外構造）であり、「セメント」の役割を担うのは高度に特殊化し、独自に組織化された細胞間脂質です。こうした脂質には、セラミド、コレステロール、脂肪酸に加え、リン脂質、グリコシルセラミド、遊離スフィンゴイド塩基、コレステロール硫酸塩などが含まれます。

現在、表皮の角質層には、角質細胞に結合していないいわゆる「遊離」セラミドが6つの主要なクラスと、角質細胞の表面に共有結合しているセラミドが2つの主要なクラス（クラスAおよびB）含まれていることが知られています。ヒトの皮膚角質層におけるセラミドの組成は非常に多様であり、人種、併存する身体疾患、年齢、環境、その他多くの要因によって異なります。セラミドは比較的複雑な化学構造を有しています。そのほとんどは、炭素原子数が16～22のスフィンゴイド塩基の長鎖ですが、まれにジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、6-ヒドロキシスフィンゴシンで表されるものもあります。スフィンゴイド塩基は、オレイン酸、リノール酸などの遊離低級脂肪酸を含む様々な脂肪酸と結合しており、これらの脂肪酸は様々な重要な生物学的機能を果たします。セラミドの機能は、肌の水分保持だけでなく、剥離速度の調節やケラチノサイトの分化への影響も含みます。スフィンゴシンは表皮層の再生速度を調節し、ケラチノサイトの正常な分化を伴わない急速な置換を防ぐことが示されています。最近の研究では、スフィンゴシンは非常に強力な抗菌作用も持ち、表皮層に存在することで皮膚表面の微生物から保護することが示されています。

セラミドを含む多くの脂質は、顆粒層細胞の特殊な細胞小器官であるラメラ体で合成され、後に角質細胞間に二重脂質層を形成します。これらの脂質は水分に対する主要なバリアとして機能し、経表皮水分蒸散（TEWL）を防ぎます。また、特殊な細胞間接着物質としての役割も果たし、角質層の細胞間構造の接着力を高め、肌の健全性を維持します。セラミドの機能には、肌の水分保持だけでなく、剥離速度の調節、ケラチノサイトの分化への影響、抗菌作用などがあります。

皮膚表面は、水と脂肪からなる薄い乳化膜、すなわち水脂質マントルで覆われています。これは、皮脂腺、エクリン汗腺、そして角質層のセラミドから分泌される分泌物で構成されています。水脂質マントルは、皮膚の乾燥を防ぎ、角質細胞の剥離と分化の速度を調節し、皮膚表面の酸性度（pH 4.5～5.5）を一定に保ち、代謝産物、薬物、毒性物質の排泄経路の一つでもあります。皮膚上の皮脂と汗の比率に応じて、結果として生じる水脂質マントルは、より多くの脂肪（「油中水型」）またはより多くの水（「水中油型」）を含み、体温を一定に保ちます。

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