フッ素からバクテリアを守るメカニズムを発見

エール大学（米国）の科学者らは、虫歯予防の歯磨き粉や洗口液に含まれるフッ化物に対抗するために細菌が用いる分子的トリックを明らかにした。

サイエンス・エクスプレス12月号で研究者らは、遺伝子発現を制御するリボスイッチと呼ばれるRNA部分がフッ化物の蓄積を検知し、虫歯促進などフッ化物の影響に対する細菌の防御を活性化すると報告している。

「リボスイッチはフッ化物を認識する特殊な検出器です」と、分子細胞生物学科長で本研究の筆頭著者であるヘンリー・フォード2世教授は語る。

フッ素は多くの歯磨き粉に含まれる成分で、虫歯の発生を大幅に抑制します。フッ素配合の歯磨き粉は1950年代から販売されています。

リボスイッチは、細菌に対するフッ化物の影響を打ち消します。「細胞内にフッ化物が毒性レベルまで蓄積すると、リボスイッチがフッ化物を捕捉し、その作用を阻害する遺伝子を活性化します」とブレッカー氏は説明します。

「フッ素を捕捉するリボスイッチを発見した時は、本当に驚きました」とブレッカー氏は語った。「科学者たちは、フッ素とRNA分子は負に帯電しており相互作用しないはずなので、RNA分子はフッ素センサーとして適していないと主張していました。しかし、私たちは多くの生物でそのようなRNAを2,000個以上発見したのです。」

研究チームは、多数の細菌種におけるリボスイッチを追跡することで、これらのRNAが古代の分子であり、多くの微生物が歴史を通じて毒性レベルのフッ化物を克服する方法を学んできたことを発見しました。ヒトの口腔内で繁殖する細菌も、フッ化物毒性から身を守るリボスイッチを持っていることが示されています。

「細胞は何十億年もの間、フッ化物毒性に対処してきたため、それに対処するためのメカニズムを発達させてきたのです」と、研究著者は述べています。これらの防御メカニズムが明らかになった今、科学者たちはこれらのプロセスを操作し、フッ化物の細菌に対する効果を高めることができるかもしれません。エール大学の科学者たちは、フッ化物を細胞外に排出するタンパク質チャネルを発見しました。このチャネルを塞ぐことで、フッ化物が細菌に蓄積し、虫歯予防効果を高めることができます。

フッ化物は地殻中で13番目に豊富な元素です。歯磨き粉や浄水器へのフッ化物の使用は60年前に始まり、現在も論争が続いています。英国やその他の欧州連合諸国では、国民の激しい反対により、フッ化物の使用量ははるかに少なくなっています。

過剰なフッ化物は人体の健康に大きな悪影響を及ぼします。フッ化物の蓄積は血液リンパ液からマグネシウムを抽出し、骨組織からのカルシウムの溶出を促進します。そして、カルシウムは筋肉、肺、腎臓に沈着します。フッ化物塩は骨に蓄積し、骨軟骨症を引き起こし、歯の形、色、成長方向、関節の状態と可動性、そして骨の成長に影響を与えます。

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