エピジェネティック治療でがん原因遺伝子を不活性化

「エピジェネティック」な併用療法は、末期肺がんにおける抗がん遺伝子の活性を回復させる可能性がある。科学者たちは、がん細胞の増殖を促進する遺伝子の活性を抑制することを目的とした新しいタイプの治療法を試験した。

ジョンズ・ホプキンス・キンメルがんセンターの科学者が実施した小規模臨床試験では、有望な結果が示された。

この研究には、末期の非小細胞肺がん患者45名が参加しました。患者らは、抗がん遺伝子を活性化する作用機序を持つ2種類の薬剤の組み合わせを投与されました。この治療を受けた患者の生存期間は2ヶ月延長し、以前の標準治療が効果がなかったにもかかわらず、2名の患者が完全寛解を達成しました。

この研究の結果はCancer Discovery誌に掲載された。

患者はアザシチジンとエンチノスタットという2種類の薬剤で治療されました。これらの薬剤の作用機序は、アザシチジンが遺伝子からメチル基を除去し、エンチノスタットがヒストンの脱アセチル化を阻害することです。これらにより、がん細胞の増殖を促進する遺伝子の活性が抑制されます。

「これらの結果がきっかけとなって、この薬剤の組み合わせを研究するための、より大規模で徹底的な臨床試験が実施されることを期待しています」と、キンメルがんセンターの腫瘍学教授であり、このプロジェクトのリーダーであるチャールズ・ルディン医学博士は述べている。

これは、「エピジェネティック」な癌治療の有望な結果を示した最初の研究の一つです。

ジョンズ・ホプキンス大学は、これまでに白血病患者にこの薬剤の組み合わせを用いてきました。実験室での試験では、エピジェネティック治療はがん細胞を直接殺すのではなく、遺伝子発現を再プログラムすることで、がん細胞が制御不能に増殖する能力を失わせることが示されています。

正常な細胞は特定の遺伝子発現セットを持っており、一部の遺伝子は活性化し、一部の遺伝子は不活性化しています。このバランスが崩れると、多くの場合、がんの発生につながります。がん細胞は常に変異を起こしており、既存の薬剤による治療は効果がありません。しかし、がん細胞の発達を促す遺伝子の活性をエピジェネティックに抑制することで、腫瘍の発達に影響を与えることができます。

「エピジェネティック療法によって化学療法の効果が向上し、その後の標準的な治療に対する腫瘍の感受性が高まったことは注目に値する」とベイリン氏は言う。