脂肪分の多い食事は癌治療に役立つのか？

放射線療法と高脂肪食のユニークな組み合わせは、がんと闘う新しい方法となる可能性がある。

セントジョセフ医療センター（米国アリゾナ州フェニックス）のバロー神経学研究所のエイドリアン・シェック氏率いる研究チームは、放射線療法と、炭水化物を制限し、タンパク質をほぼ完全に排除し、大量の脂肪を必要とする特別な食事療法を組み合わせた独自の方法を用いることで、悪性神経膠腫（悪性度が高く致死的な脳腫瘍の一種）を患ったマウスを治癒させることに成功しました。この食事療法は、体がエネルギー産生に炭水化物ではなく脂肪を利用するように促します。研究者たちは、この食事療法がヒトの脳腫瘍の治療における追加的治療法として安全に使用できると主張しています。

アドリエンヌ・シェックと彼女の同僚は、このような実験を行った最初の人たちでした。

「高脂肪食は放射線の抗腫瘍効果を著しく高めることを発見しました。これは、人間の悪性神経膠腫に対する現在の標準的な併用療法の補助として、高脂肪食を活用できる可能性を示唆しています」と、アドリアン・シェック氏は説明します。

高脂肪食は1920年代からてんかん治療に用いられてきました。近い将来、がん治療にも役立つかもしれません。

通常、体は砂糖、パン、パスタなどの食品に含まれる炭水化物を摂取してブドウ糖を生成します。ブドウ糖は体の主なエネルギー源です。高脂肪食では、炭水化物の摂取量が制限されるため、体はブドウ糖を利用できず、脂肪が主なエネルギー源となります。このプロセスはケトーシスと呼ばれます。

科学者たちが病気のマウスに高脂肪食を与えたところ、脂肪を主成分とする食事を与えられたマウスは、同じ治療を受けた他のマウスよりも平均5日間長く生きたことがわかりました。高脂肪食を与えられたマウスのほとんどは、腫瘍の再発の兆候もなく200日以上生存しました。一方、通常の食事を与えられたマウスは、33日以上生存したマウスはいませんでした。

科学者たちは、脂肪分の多い食事が腫瘍の発達に及ぼすこの影響は、成長ホルモンの刺激を減少させることによって説明している。したがって、脂肪分の多い食事は放射線療法と併用することで、腫瘍の成長を抑制し、腫瘍周囲の炎症や腫れを軽減することができる。

アドリエンヌ・シェック率いる科学者チームによる研究の次の段階は、人間を対象とした実験となるはずだ。

科学者たちは、脂肪分の多い食事から体内に摂取される特定の脂肪酸を使って、便秘、低血糖、成長遅延、骨粗鬆症などの副作用なしにてんかんやガン患者の治療に役立つ錠剤を作れることを証明した。

高脂肪、低炭水化物、低タンパク質の食事は脳の恒常性に良い影響を与え、がんやてんかんだけでなく他の脳疾患の治療にも効果がある可能性があることを示唆する証拠があります。

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