繰り返し使える新型プラスチック

米国エネルギー省傘下のローレンス・バークレー国立研究所の職員が、新しいタイプのポリマー材料を開発しました。この材料は、まるで組み立てセットのように分解・組み立てが可能で、品質を損なうことなく必要な形状、密度、色合いに調整できます。このポリマーはポリジケトエナミン、略してPDKと呼ばれています。

世界中で生産されるプラスチックのほとんどはリサイクルできません。専門家たちは、製品の分子リサイクルを可能にする新しい生産方法を採用しました。

現在最も広く知られ、最も広く使用されているプラスチックであるPET（ポリエチレンテレフタレート）は、リサイクル可能な割合がわずか25%に過ぎません。残りは焼却炉、埋め立て地、あるいは土壌や水域に沈んでしまいます。

プラスチックは通常、長い炭素系分子がポリマー状に結合して構成されています。その構造上、化学的に安定しており、腐食しません。特定の用途に適応させるため、製造段階で他の化学成分が添加されます。例えば、プラスチックを柔らかくしたり、逆に密度を高めたりするには添加剤が必要です。添加後は、特殊なプラスチック加工を施しても、これらの添加剤を組成物から除去することはできなくなります。

リサイクル工程では、異なる化学成分を持つ材料が混合、結合、溶融されます。リサイクルされたプラスチックの特性を予測することはほぼ不可能です。

プラスチックのリサイクルは世界中で大きな問題となっています。生態系の汚染は世界中で問題となっており、リサイクルされずに生産されるプラスチックの量が増え続けるにつれて、状況はさらに悪化していくことが予想されます。

PDK を構成するモノマーは、材料を高酸性の液体に浸すだけで簡単に除去でき、モノマーと追加成分間の結合が破壊されることが判明しました。

科学者たちは、接着剤混合物を調製するためにガラス容器に様々な酸を塗布した際に、PDKのこの特性を発見しました。専門家たちは接着剤の変化に気づき、核磁気共鳴法と分光法を用いてプラスチックを分析しました。その結果、モノマーの独自性が明らかになりました。

さらなる実験により、酸性環境下でPDKポリマーがモノマーに分解され、同時に他の分子から分離されることが示されました。モノマーは再びポリマーに変換され、リサイクル後には他の成分が完全に除去されます。専門家は、この新しいタイプのプラスチックが、リサイクルできない他の材料の有望な類似物となる可能性があると示唆しています。

専門家らは、繊維産業や3Dプリント産業での利用を目指し、幅広い熱機械的特性を持つPDKプラスチックの開発を既に計画しています。また、植物由来や環境に優しい素材から新しいタイプのプラスチックを製造することも計画されています。

この研究の詳細は Nature Chemistry (www.nature.com/articles/s41557-019-0249-2) に掲載されました。