テストステロンの低下：その危険性とは？

科学者たちは、男性におけるテストステロン値の低さが、関節症、高血圧、 2型糖尿病の早期発症に影響を与えるという関連性を明らかにしました。さらに、これらの疾患は40歳未満で発症することもあります。

この研究は、総テストステロン、年齢層、慢性病の存在との関係を調べるために実施されました。

「年齢を重ねるにつれて、ますます多くの病気が蓄積していくことは誰もが知っています。テストステロン値の低下と過剰な体重は、多くの病状の早期発症を引き起こす可能性があることが判明しました」と、ミシガン大学（アナーバー）のリハビリテーションおよび理学療法の専門家であるマーク・ピーターソン博士は述べています。

男性の性的特徴の出現は、主にテストステロンの作用によるものだと古くから信じられてきました。しかし、このホルモンの働きはそれだけではありません。医学的には、テストステロンが動脈や骨の健康状態を維持し、脂肪の蓄積を防ぐことが確認されています。したがって、このホルモンレベルの低下が男性の健康に間接的に悪影響を及ぼす可能性があることを事前に予測することは可能です。

「これまでの研究では、男性の体は加齢とともにホルモン合成が減少することが示されています。私たちは、年齢に応じて男性の体内にどれだけのテストステロンが存在すれば病気の発症を予防できるのか、という点に興味を持っていました」とピーターソン教授は述べています。

科学者たちは、米国で実施された全国規模の実験を開始しました。このプロジェクトには、19歳以上の男性2,000人以上が参加しました。参加者は、年齢、社会的地位、ライフスタイル、健康状態など、自分自身に関する十分な情報を提供する必要がありました。専門家は、身体のあらゆる問題や健康状態に関する不満を記録し、さらに心血管系と代謝のバイオマーカーとなる物質も収集しました。

低テストステロン値は、関節症、うつ病、高コレステロール、冠動脈疾患、脳卒中および心臓発作、高血圧、2型糖尿病、閉塞性肺疾患の発症と関連していることが判明しました。科学者たちは、これらの疾患を患っている人は主に男性で、テストステロン値が低いことを発見しました。

「総テストステロン量と罹患率の間には強い依存関係があることを確認しました。これは、血中のホルモン量が少ないほど、二次的な病態を発症するリスクが高くなることを示唆しています」とピーターソン医師は説明した。
専門家らはまた、総テストステロンの臨界レベルを300 ng/dl（10.4 nmol/L）未満と定めた。

専門家は、このような科学的研究は、テストステロン量と病状の発症との因果関係を証明するものではないと指摘しています。したがって、この研究結果は、まず実験室で、そして次に臨床で、更なる検査を実施するための根拠となるに過ぎません。しかしながら、科学者の結論に耳を傾ける価値はあります。テストステロン値のコントロールは、あらゆる男性にとって重要な予防策です。

この研究の結果はScientific Reportsに掲載されました。

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