心臓病患者にとって、運動や余暇活動のメリットはリスクを上回る。

運動には多くの健康効果がありますが、人によっては心血管疾患のリスクを高める可能性があります。しかし、心臓専門医は、運動によるメリットがリスクをはるかに上回ると強調しています。CJC OpenとCanadian Journal of Cardiology（エルゼビア）に掲載された新たなデータは、様々なスポーツやレジャー活動に関連するリスクを概説しています。

研究の主な結果：

• ケベック州では、サイクリング、ホッケー、狩猟が、自然死の最も多い原因となっているレジャー活動のトップを占めており、そのうちの95%は突然の心臓死である。
• この研究は2006年1月から2019年12月までのデータを対象としており、スポーツやレジャーに関連した死亡者2,234人（うち自然死は297人）が含まれている。死亡リスクは35歳から増加し、45歳以上の男性でピークに達した。
• 65%のケースでは自動体外除細動器（AED）を利用できず、緊急事態への備えに重大な欠陥があることが示された。

この研究の主任研究者であり共著者でもあるフィリップ・リチャード博士は、次のように述べています。

「AEDの不足は、公共の場所だけでなく、リスクが特に高く、救急医療へのアクセスが限られている農村部や遠隔地まで網羅した包括的なアプローチの必要性を浮き彫りにしている。」

AEDと救急治療についての議論:

• 解決策としては、AEDを遠隔地（狩猟小屋など）に設置したり、ドローンを使ったAED配送ネットワークを活用したりすることが挙げられます。しかし、こうした取り組みには多額の資金と定期的なメンテナンスが必要であり、導入が制限される可能性があります。
• 現在開発中のポータブルで超軽量の AED は将来有望な選択肢となる可能性がありますが、その有効性はまだ証明されておらず、さらなる研究が必要です。

リスクと身体活動:

トロント大学スポーツ心臓学プログラムの研究者たちは、心臓専門医を含む多くの医師が、特に心血管疾患のある患者にとって運動について深刻な懸念を抱いていることを指摘しています。しかし、最近の研究では、運動を許可する方向に焦点が移っています。

「運動の絶対的および相対的リスク：迷ったら、やってみよう」というレビューの主著者であるポール・ドリアン博士は、次のように述べています。

運動中の突然死は極めて稀です。アスリートは、厳格な禁止事項に縛られるのではなく、自らの価値観や好みに基づいて、何が自分にとって安全かを自ら判断すべきだと私たちは考えています。概して、心臓病を持つほとんどの人にとって、激しい運動であっても比較的安全です。

活動の利点を強調:

この研究の共著者であり上級研究員であるポール・ポワチエ博士は次のように述べた。

サイクリング、ホッケー、狩猟といった活動は、リスクがあるからといって避けるべきだと結論付けるのは間違いです。寝ているとき、椅子に座っているとき、あるいは熊手で落ち葉を掃いているときの方が、心臓発作で亡くなる人のほうがはるかに多いのです。運動よりも、座りっぱなしの生活習慣の方がはるかに有害です。

結果の応用:

この研究結果は、遠隔地での訓練の改善、健康診断の強化、心肺蘇生法（CPR）の訓練、AEDへのアクセス拡大のための法律制定の推進などに活用できる可能性がある。

医師や研究者は、特に心臓病を患っている人にとって、身体活動に伴うリスクを管理し、不必要な制限を避け、適度で安全な活動を奨励するための、よりバランスのとれたアプローチの必要性を強調しています。