短時間のトレーニングががん治療の効果を高める可能性

英国バーミンガム大学とバース大学の研究者による新たな研究で、激しい運動が慢性リンパ性白血病（CLL）の治療によく用いられる抗体であるリツキシマブ療法の効果を高める可能性があることが示されました。この研究結果は、Brain, Behavior, and Immunity誌に掲載されました。

研究の説明

この研究には、がん治療を受けたことのない慢性リンパ性白血病患者20名が参加しました。研究の一環として、参加者は中等度から高強度のサイクリングを20～30分間行いました。

主な調査結果

研究者たちは、この種の運動によって、がんと闘う免疫細胞、いわゆるナチュラルキラー細胞の数が254%増加することを発見しました。がん細胞の表面にあるタンパク質に結合し、ナチュラルキラー細胞ががん細胞を識別して破壊するのを助けるリツキシマブと併用すると、運動直後に採取した血液サンプルにおいて、がんと闘う細胞の効果が2倍に増加しました。

「この研究は、1回の激しいサイクリングトレーニングが、体外での自己慢性リンパ性白血病細胞に対するリツキシマブを介したADCC（抗体依存性細胞傷害）を改善することを初めて示した」と著者らは書いている。

専門家の意見

この研究には関わっていないニューヨーク大学ランゴーン・ヘルスのパールマッターがんセンター臨床リンパ腫プログラムのディレクター、キャサリン・S・ディーフェンバッハ博士は、結果は興味深いが、サンプル数が少ないため疑問が残ると述べた。

「これは、規定された形での制限された運動を含む制御された環境で20人の患者を対象にした小規模なパイロット研究であり、CLLにおけるNK細胞の活性化とリツキシマブ誘発性の細胞死滅に関する興味深い生物学的知見が得られました」と彼女は説明した。

「しかし、これらのデータは、より多様な患者集団を対象としたより大規模な研究で確認される必要がある」とディーフェンバッハ氏は警告した。「また、この知見が臨床転帰にどのような影響を与えたのか、あるいは治療への反応や疾患の安定性に何らかの影響があったのかどうかも不明だ」

カリフォルニア州オレンジ郡のメモリアルケアがんセンターの血液専門医兼腫瘍専門医であるワエル・ハーブ博士も、この研究から広範な結論を導き出すのは難しいと指摘した。

「激しい運動ができる患者とできない患者では免疫力が異なる可能性があります。運動能力とサンプル数を考慮すると、これらの研究結果を他の患者にどのように一般化できるでしょうか？」とハーブ博士は問いかけ、この研究は体外血液サンプルに依存しているため、体内で何が起こっているかを判断するのは難しいと付け加えた。

「最も重要なのは、それがどのように結果に影響を与えるか、ですよね？治療への反応や白血病の寛解に本当に影響があるのかどうかを見極めるには、長期的な結果が必要です。同じ治療（リツキシマブ）を用いた異なるレジメン、あるいはリツキシマブを含む治療に加え、異なる運動プログラムを追加した異なるレジメンに患者をランダムに割り付けるには、より構造化された研究が必要です」と彼は付け加えた。

運動ががんに及ぼす影響

多くのがん治療、特に化学療法や手術は身体活動を妨げるほどの重度の疲労を引き起こす可能性がありますが、運動が免疫細胞を刺激できるという証拠が増えています。

ハーブ博士は、身体活動が体の免疫システムを強化し、がん細胞と闘うための手段として十分に実証されていると説明した。彼は、短期的な激しい運動とより定期的な活動パターンの効果を調査した近年の研究をいくつか引用した。

「私たちは活動的に運動することを推奨しています。がん治療中の運動が免疫系を助けるという証拠はたくさんあると信じていますし、がんと闘う上での免疫系の役割はこれまで以上に理解されています」と、同氏は医師の推奨について語った。

「実際、新しいがん治療の多くは免疫療法に基づいており、免疫システムを活性化させてがんと闘うのを助ける」とハーブ氏は付け加えたが、がん治療の補助として運動を行うことについては警告も発した。

「激しい運動は少し難しいです。個人の運動能力、年齢、運動を困難にする基礎疾患などによって異なります。そのため、激しい運動には実際的な問題が生じる可能性があり、患者の参加が制限される可能性があります」と彼は指摘した。